【学類1年】「分からない」を恐れず、考える体力をつくる
- 知識量は不要:今は「なぜ?」で止まれるかが重要。
- 基礎科目を武器化:力学・電磁気は後で効く。
- AIは答えより前提チェック:違和感を育てる。
「地学の知識に自信がない」「物理や数学が苦手」…そんな不安は、ここでは一切不要です。 大切なのは、今の知識量ではなく「なぜ?」と立ち止まれる姿勢です。私の研究室に集まる学生の多くも、そして私も、最初はあなたと同じように、漠然とした不安を抱えた「普通」の学生でした。
大学教員になって20年以上経過しましたが、「人は、環境が整えば驚くほど成長するものである」と実感しています。
「なぜそうなるのか?」を粘り強く考える
基礎を「自分の武器」にする
知識を詰め込むことではなく、「なぜそうなるのか?」を粘り強く考える姿勢を養うこと。古典力学や電磁気学といった基礎科目は、一見遠回りに見えても、後になって必ず「あなただけの研究」を支える強力な土台になります。
AIの答えを「考える力」に変える
AIを使う際は、答えを鵜呑みにする前に一度立ち止まってみてください。「前提は正しいか?」「論理に飛躍はないか?」と疑うことで生まれる「違和感」こそが、将来のあなたを助ける本物の「考える力」を育てます。
【学類2年】興味や違和感を、少しずつ「問い」の形にする
- 違和感をメモ:小さな引っかかりがブレークスルーに繋がる。
- 相談は早いほど得:対話が将来の準備になる。
- AIは道具:不得意分野に取り組むチャンス。
明確なやりたいことが決まっていないのは当たり前。1年生の時に思うように動けなかったと感じている人も、まだ慌てる必要はありません。
違和感を「問い」に変え、AIを道具として使いこなす
小さな「引っかかり」を大切にする
「少し引っかかる」「教科書の解説が腑に落ちない」という小さな違和感を大切にしましょう。 地震学に少しでも興味が湧いたら、学年を問わず研究室へ相談に来てください。対話が新たなインスピレーションをもたらすものです。
AIを「知の拡張」のための道具にする
AIは、調べ物や要約には非常に便利です。特に、自分の不得意な分野を勉強するときに使えます。AIの力を借りて、幅を広げてみましょう。ただし、出てきた答えをそのまま受け取らないこと。また、「なぜそうなるのか」「前提は何か」と問い直すことは忘れずに。
【学類3年】知識をつなぎ、「違和感センサー」の感度を上げる
- 遅くない:学び直しはここからでも間に合う。
- 横断が武器:異分野の概念が独自性を生む。
- AIで効率化→Whyに投資:知識の統合と思考に時間を回す。
まだ研究テーマが固まっていなくても、それが普通です。 1、2年で思うように成長できなかったと焦っている人もいるかもしれませんが、 学び直すのに手遅れなタイミングなどありません。
AIを味方につけ、知の境界を越えていく
AIで効率化し、思考の時間を生み出す
AIを使いこなすことで、幅広い分野の学習を驚くほど効率化できます。そうして浮いた貴重な時間は、人間にしかできない「なぜ(Why)」の追及や、バラバラな知識を繋ぎ合わせる「統合」の作業に注いでください。AIが出せない答えを、一緒に探しましょう。
異分野の知識を行き来する
専門分野の殻に閉じこもらず、多様な知識を自由に行き来してください。「地震学のこの課題は、全く別分野のあの概念で説明できないか?」という横断的な視点こそが、世界を驚かせる独創的なテーマを生む源泉になります。知的な越境を楽しんでください。
大学3年生からの学び直し
私は大学3年生まで、地元の釜石で公務員になろうと漠然と考え、効率的に単位を取得し、遊ぶことしか考えていませんでした。そんな時、友人が「このままで本当にいいのか?」と問いかけ、勉強に誘ってくれました。正直、当時は面倒で避けたい気持ちもありました。受験勉強もテスト勉強もろくにしてこなかった私にとって、机に向かい続けるのは決して楽ではありませんでした。
その友人と逃げずに向き合った時間こそが、私の学びの原点です。夜通し勉強し、疲労感の中で見た朝焼けの景色は今も鮮明に覚えています。
その後、大学院に進み、多くの人との出会いに恵まれました。
未踏の問題に挑む姿勢、問いを立て直すことの重要性、難問に真摯に向き合う態度
研究の技術以上に、そうした姿勢を学びました。
人は、きっかけと環境によってバケる
私は、学生がバケるための場をつくりたい
八木 勇治
他大学からの進学を考えている方へ
私たちは、他大学からの進学も歓迎しています。 バックグラウンドが異なる学生が混ざることは、研究室全体の議論を活性化させるため、 とてもポジティブなことだと考えています。出身大学やこれまでの専攻よりも、私たちが重視するのは「前提を疑い、問いを立て直そうとする姿勢」です。
- 地震学が専門でなくても問題ありません
- 物理・数学・情報・工学など、異分野出身者も歓迎します
- バックグラウンドの違いは、研究室の議論を強くします
受験・進学について
博士前期・後期は地球科学学位プログラムの受験が必要です。 (入学案内・入試問題はこちら)
受験前に必ずメールにて連絡をとり、研究テーマについて相談してください。 現在の知識量よりも、どのような視点で研究に取り組みたいかという「意欲」や「問い」を重視しています。
※ 相談は雑談レベルで構いません。 「進学を迷っている」「分野が合うか知りたい」といった段階でも歓迎します。
【高校生・高専生】「知識」より「違和感」。それが研究の入口
- 地学を履修してなくてもOK:必要なのは「気になる」を放置しないこと。
- 研究室は“答えを覚える場所”ではない:自ら問いを立て考え調べる場所。
- 担当学類は地球学類:総合学域群もありだけど、オススメは地球学類入学。
「研究って難しそう」「数学が得意じゃないと無理?」と感じるかもしれません。でも、本当に必要なのは知識量ではなく、“違和感センサー”です。何かが腑に落ちない、説明が雑に感じる、現象が気になる、その感覚が重要です。
研究室って何をするの?
授業は「既に分かっていること」を学ぶ時間。研究は「まだ分かっていないこと」を、自分で問いにして、データや理屈で確かめて、発表まで持っていく活動です。最初から正解を出す必要はありません。むしろ、間違えることが重要です。
訓練するスキル
地震学の専門知識はもちろん、どの分野・職種に進んでも武器になる「柔軟な思考」を鍛えます。
問いを立てる力
AIが提示する答えの「前提」を疑い、違和感を放置せず独自の視点を持つ力。情報の表面をなぞるのではなく、本質的な問いを再定義する訓練を行います。
高度なデータ解析
世界中から集まる地震波形データを用い、PDTI等の独自理論で断層の複雑な動きを可視化。並列計算サーバーやGitHubを駆使し、複雑な現象を数理的に解き明かす技術を習得します。
論理的なプレゼン力
「世界水準の論文」を書き上げ、世界の研究者に自らの考えを論理的に伝える力。多数の学生が筆頭論文を国際雑誌に掲載しているように、アウトプットまで完遂する力を養います。
粘り強く柔軟な思考
想定外の結果や失敗を「常識が壊れる瞬間」と捉え、新たな発見の鍵に変える柔軟さとタフさ。答えのない問いに対して、粘り強く向き合い続けるマインドセットを構築します。
気軽に相談しよう
AIとの対話は、自分自身を映す鏡との対話になりがちで、どうしても予定調和に陥ります。一方で、人との会話には意外性があり、思いもよらない視点や新しい発想が生まれるものです。研究は、その「予想外」から前に進むものです。
興味を持った段階での相談や、研究室見学をいつでも歓迎しています。もちろん、雑談でもOKです。
将来やりたいことが決まっていなくても、地震に関する知識に自信がなくても全く問題ありません。配属や進学を前提としない相談でも構いません。
ふわっとでもOKです。相談(議論?)することで、一緒に考えをまとめていきましょう。
- 所要時間:15〜30分(目安)
- 準備:特に必要ありません。
- 相談内容:授業で引っかかった点/興味ある現象/将来像などなど
Teamsにコピペで送れるテンプレ
送り先:Teamsで「八木 勇治」を検索 → 上のテンプレを貼り付けて送信してください。
* 地震学に興味がある場合は、奥脇研もおすすめです。奥脇さんにコンタクトするときは、Teamsで「奥脇 亮」を検索して同様にテンプレを貼り付けて送信してOKとのことです。
よくある質問
迷っている人は、まずここを読んでください。
まず知りたいこと
数学やプログラミングが不安ですが大丈夫ですか?
大丈夫です。
解析理論の開発も行っていますが、どちらかというと新しい手法を地震データに適用する研究が中心です。 必要な数学・プログラミングは、ゼミや日々の研究の中で身につけていきます。また、数学やプログラミングについては、AIを使うことによって驚くほど効率的に対処できます。
地震学を専攻すると、就職先は限られますか?
研究職や公務員だけでなく、多様な業界で活躍しています。
地震学の専門知識を直接活かし、大学教員や気象庁、地理院、海保庁、産総研などの公務員・研究機関へ進む卒業生が多くいます。また、地質系コンサルへの就職も多いです。
一方で、研究室で鍛えられる「膨大なデータを解析するプログラミングスキル」や「前提を疑い、論理的に思考する力」は、どの分野でも重宝されます。そのため、総務省、会計検査院等の国を支える行政機関や、IT系企業やシンクタンク、インフラ系企業など、一見すると地震学とは無関係に見える業界へ進み、第一線で活躍している卒業生も少なくありません。
具体的な就職先については、「人」のページの卒業生の進路をご覧ください。
筑波大学で地震学を専攻できる研究室はどこですか?
八木研と奥脇研のみです。
八木研と奥脇研は互いに独立した研究室です。奥脇研とは合同でセミナーを運営しています。奥脇研は、地震学と環境地震学を専門としています。奥脇研のHPはこちら。
配属後・研究の進め方
配属後はどのように進みますか?
まず面談で研究テーマを決めます。
- 興味のある分野や進路希望(修士課程・博士課程への進学希望など)、得意・不得意を聞いた上で、研究テーマを考えます。
- いくつかテーマ案を提案し、その中から選ぶ学生も多いです。
- 研究を進める中で、必要に応じてテーマを変更することもあります。
- 他の学生とテーマが重ならないよう調整します。
4月には以下を行います:
- Mac・並列計算機の使用方法
- GitHubの利用方法
- データ取得方法
- 解析手法の基礎説明
- ゼミ書籍の選定
これらは上級生が主導して説明します。
その後の進み
学生によって進み方は様々ですが、研究志向の学生の一例を紹介します。
B4(学類4年)
- 研究を「とりあえず」やってみるステージ。
- 自分の手を動かす。独自開発の手法を用いた解析を回す。必要であれば自分でプログラムを書く。
- 小さくてもいいので、「自分なりに問いをつくって、最後までやり切る」ことを目指します。
M1
- 議論を通じて、研究の骨格が見えてくるステージ。
- 自分の研究の意義が、ハッキリ認識できるようになります。
- 国内学会で発表します。また、国際学会や論文執筆も視野に入ってきます。
M2
- 研究を国際的に発表するステージ。
- 自分の研究の意義を、専門家に対して論理的にプレゼンできるようになります。
- 査読付き国際誌へ投稿し、掲載を目指します。
これまでに、修士学生7名が国際誌に論文を掲載しています。 - 博士課程に進学する場合は、申請書類等の書き方を指導します。
研究室のゼミはどのように行っていますか?
週2回(合計3〜4時間程度)行っています。
- 教科書ゼミ(1〜2時間):地震学や機械学習の教科書を輪読します。英語の教科書がメインですが、良い日本語の教科書があれば採用することもあります。
- 研究発表ゼミ(1〜2時間):各自の研究進捗や関連論文のレビューを発表します。
- グループミーティング(金曜午後・約1時間):1週間の進捗共有と、困りごとの相談を行います。
少人数体制(学生数10名程度)のため、議論の時間は十分に確保できています。
指導スタイルを教えてください。
自主性を重視しつつ、伴走するスタイルです。
- ゼミやミーティングで定期的に指導します。
- 学会発表・論文投稿を希望する場合は、スケジュール設計からサポートします。
- 国内外の学会参加のための予算確保にも積極的に取り組んでいます。
研究の方向性は学生と話し合って決めます。進捗が滞った場合は、こちらからも積極的にサポートします。
研究室での生活・サポート
コアタイムはありますか?
コアタイムは設けていません。
研究は各自の裁量に任せていますが、議論のしやすさの観点から平日昼間の在室を推奨しています。 もちろん、バイトや就職活動との両立も可能です。
昼に研究室にいる学生には、私(八木)がランチに誘いに行くことがあります(自由参加)。 主に雑談をしていますが、気軽な相談の場としても使えます。
相談したいときはどうすればよいですか?
Teamsで連絡してください。ランチ時に相談・ランチ後に議論に発展という展開も歓迎しています。
- 研究相談:研究室(B108)で大型ディスプレイやホワイトボードを使って議論します。
- 個人的な相談:居室(B406)で対応します。
研究環境の整備はどうなっていますか?
良質な研究環境の整備に努めています。
ハードウェア: 学生一人ひとりにiMac等の専用端末、自由に使える大規模計算サーバーを完備
旅費のサポート: 学会発表をするときは、旅費等は原則として研究費から支給
ナレッジ共有: 解析ノウハウやプログラムはGitHubで管理。歴代の卒業生の知見にいつでもアクセス可能
具体的な環境は、「人」の環境項目をご覧ください。
研究室の雰囲気
野外調査はありますか?
研究室が主催する定例の調査は、現時点ではありませんが、研究室の巡検をやりたいなと考えています。「ここを調査したい」という学生自身の希望があれば、ぜひ一緒に企画しましょう。
筑波大学の地球学類や学位プログラムでは、数多くの野外実験が提供されており、学生はそれらに積極的に参加してフィールドの感覚を養っています。また、学会発表の際には、学会が提供する巡検に参加し、現地の断層や地質を直接学ぶ機会も多くあります。
東北大学の遠田さんと共同研究をしており、一緒に巡検に行こうというお話もあります。
また、野外に行きたいという学生が多いので、産総研とかの地震観測に参加できるように調整中です。
研究室のイベントはありますか?
公式な行事は、卒業生も参加する忘年会or新年会です。
それ以外は、学生たちが主体となってイベントを運営しています。研究室でのパーティや北海道一周旅行、スポーツデイへの参加(バレーボール部門で入賞実績あり)など、その時のメンバーによって内容は多岐にわたります。
SeLTsでは、教員の知らないところで学生同士が盛り上がるのは大歓迎です。教員の役割は、研究で困った時に手を差し伸べることであり、学生たちのプライベートな交流に干渉することはありません。
研究室によっては、イベントを含めて、教員が場の中心にいることを重視する文化のところもあります。研究室ごとの文化の違いは、皆さんが想像しているよりもはるかに大きいです。
過去にはボーリングクラブが存在したり、最近では将棋が流行っていたりと、その時々のブームがあるようです。
食後に学生と将棋をしたら、連敗続き… リベンジの機会をうかがっています。
向いている人・研究室選び
どんな人が向いていますか?
分からない状態を放置せず、少しだけ粘れる人や、説明が雑だとなんだか気持ち悪いと感じる人が向いています。逆に、「答えが欲しい」「間違えるのが怖い」というタイプは、苦労する可能性が高いです(でも鍛えられます)。
現在、学類生の9割以上が修士課程へ進学しています。研究志向の学生が多い環境です。
自分に合った研究室を見つけるコツはありますか?
教員や学生と「対話」をすること、そしてその時に感じる「自分自身の直感(違和感)」を大切にすることです。
同じ学位プログラムでも、研究室によって大切にしている文化は驚くほど違います。例えば、「観測データが示す矛盾を面白がり、そこから新たな謎解きを楽しむ文化」もあれば、「あらかじめ立てた予想や自分の考えを証明するために、それに合うデータを探す文化」もあります。
実際の対話の中で、想定外の結果や「分からないこと」に対して、どのように議論が深まっていくかに注目してみてください。既存の枠組みを補強しようとしているのか、それとも枠組み自体を問い直そうとしているのか。
他者の異なる意見を認めるポーズを取りながら、実は自説を守るために論点を巧妙にスライドさせる… 表面的には柔軟に見えても、実際には議論が深まらないこともあります。自分の時間やエネルギーを、納得できる対話に使える環境かどうかを大切にしてください。
あなたの「違和感センサー」がポジティブに反応する場所こそが、納得して研究に打ち込める環境のはずです。