2015年4月25日にネパールで発生した巨大地震(暫定)

2015/04/25(UT)にネパールでM8クラスの巨大地震が発生しました。
断層すべりの時空間分布IRISからダウンロードしたGSNのデータに、Yagi & Fukahata (2011, GJI) のグリーン関数の不確定性を考慮した震源インバージョンを適用して断層滑りを求めました。その結果、今回の地震はインドプレートとユーラシアプレートの衝突帯で発生した北落ちの低角逆断層地震であり、破壊開始から70秒間、東南東方向に破壊が伝わっています。断層の面積は約125 km x 125 kmで、最大滑りは深さ 15 km付近に位置し、すべり量は約 2.6 m です。この求まった最大すべり量は下限値と考えるのが妥当です。

結果

地震モーメント Mo = 1.19 x 10^21 Nm (Mw 8.0);
破壊継続時間 T = 約 70 s;
断層パラメター (strike, dip, rake) = (300, 10, 126)

高周波の波源IRISからダウンロードしたGSNとFDSNデータに、Yagi et al. (2012, EPSL) のHybrid Back-projectionを適用して、1 Hz 周辺の高周波の波源を求めました。解析の結果、地震発生後に波源は東南東方向に進行しており、カトマンズ周辺で高周波が放出されていることがわかります。

(文責 八木勇治、奥脇亮:筑波大学)

すべり量分布(震源過程インバージョンの結果)

[震央はUSGSの値を使用しました。震央の位置を改定しました。]

高周波の波源の時間変化(Hybrid Back-projectionの結果)

震源メカニズム解、モーメント速度関数、すべり量分布(震源過程インバージョンの結果)

観測波形(黒線)と理論波形(赤線)の比較(震源過程インバージョンの結果)

Hybrid Back-projectionbの解析に使用した地震波のアジマス変化

東方向で揺れの継続時間が短くなり、西方向で揺れの継続時間が長くなることより、破壊が東方向、つまりカトマンズ方向に伝播していったことがわかります。