2011年2月22日にニュージーランドで発生した地震(暫定)

2011年2月22日にニュージーランドでM6クラスの地震が発生しました。震源は、2010年9月3日のM7の地震の震源域の西側に位置しており、震源メカニズムは、2010年の地震と同様の北西ー南東方向にP軸を持つ横ずれ断層型を示します。ここでは、 IRIS-DMCからFDSNとGSNの地震観測網の波形データをダウンロードして、震源過程を求めました。gCMTを見る限り、非ダブルカップル成分が多く含まれる地震で、複雑な断層系で発生した地震であることが想定されます。複雑な断層系で発生した地震を解析するために、「断層形状の複雑性とグリーン関数の不確定性を考慮した波形インバージョン法(笠原・八木, 2011)」を適用しました。断層面は、2010年の断層面と同様に東西方向の断層面を仮定していますが、もう一方の断層面の可能性もあります。
震源メカニズム分布から、断層面の形状は、震源付近ではほぼ垂直であるが、震源から西に行くに従い南落ちに、逆に震源から東に行くに従い北落ちに、変化したことが読み取れます。浅い領域が破壊したこと、複雑な震源過程であったことにより、強い地震動が発生し、地震被害が拡大した可能性があります。

結果

地震モーメント Mo = 2.8 x 10^18 Nm (Mw 6.2);
破壊継続時間 T = 6 s;
2003年宮城県北部で発生した地震 (Mj 6.2) と同程度の規模と継続時間です。
仮定した断層面 (strike, dip) = (270, 87)
得られた断層パラメター (strike, dip, rake) = (274, 87, 178)
震源: (Lat = 43.6S, Lon = 172.71E, depth= 9 km).
[ここで,震源はUSGSの値を使用しました。]

(文責 八木勇治・笠原天人:筑波大学)

すべり量分布.星印は震央

トータルの震源メカニズム,震源時間関数,すべり量分布

各ノットの震源メカニズム分布

断層面に合わせて回転していない震源メカニズムです

観測波形(黒線)と理論波形(赤線)の比較