2009年9月29日(UT)サモア沖で発生した巨大地震(暫定)

9月29日(UT)にサモア沖でM8クラスの正断層の巨大地震が発生しました。この地震は、1933年の昭和三陸地震と同じメカニズムであり、海洋プレート(ここでは太平洋プレート)が海溝で沈み込む前に折り曲げられることによって蓄積した歪みを解放するタイプです。
ここでは,FDSNとGSNの地震波形記録をIRIS-DMCからダウンロードして,地震時の断層面上の滑り分布を求めました。ここで得られた解は、グリーン関数の不完全性を考慮した震源解析手法で得られたものです。サンプリング間隔1.5 sで計算しているので、分解能がやや低い解となっています。
断層面は南西傾斜のものを採用しましたが、必ずしも定かではありません。北東傾斜の断層面を採用しても、ほぼ同じパターンの破壊伝搬モデルが得られることが期待されます。波形からも明らかなように、地震発生から約20秒後にメインの破壊が開始します。メインの破壊は震源から約40km北西に重心があります。海底付近で最大すべり量が約6mのすべり領域が分布しており、これが大きな津波を引き起こしたと考えられます。(筑波大学 八木勇治

主な解析結果

断層モデル1
地震モーメント Mo = 1.0 x 10**21 Nm (Mw 7.9);
破壊継続時間 T = 約50 sec ;
(strike, dip, rake) = (124, 46, -97)
震源の深さ = 15 km.

滑り量分布.星印は震央

震源メカニズム解,震源時間関数,滑り量分布

観測波形(黒線)と理論波形(赤線)の比較

解析に使用した観測点分布