(2020/4/1 改訂) ・・・ 令和3年度版です(H30年度入学者向け)
卒論をはじめるにあたり,特に必要な条件はありません.大切なのは,以下の3つ.
・探求心
・向上心
・そして,それらを生かそうとする日々の努力
★変成岩分野では意欲のある学生を募集しています★
★岩石分野での卒業研究を希望する人は,3年次に以下の授業を履修して下さい.
・岩石学A, B
・岩石学実験(偏光顕微鏡実験)
・岩石学・鉱物学演習
★なお,将来研究者を目指す人は,鉱物学,地球資源学はもちろんのこと,地史・古生物学,地層学,構造地質学などのすべての授業,演習,実験を履修するべきです.
私たちの研究室では,現在集中的に南部アフリカ、南インド、南極、スリランカのグラニュライトの研究を行っています。2021年度は、南部アフリカおよびインドの現地調査をもとにした卒論をお勧めします。詳細についてはここでは述べられないため、直接角替まで問い合わせてください。
大学院進学希望者用のテーマ
(1)マラウイまたはジンバブエの6〜5億年前の大陸衝突帯にみられる変成作用の研究
大陸衝突によって形成された変成帯の成因を解明します。大学院進学後に約1週間の地質調査を行う予定です。旅費は研究費からサポートします。1、2名。
(2)ザンビアのカッパーベルトの変成作用と鉱化作用
ザンビアにみられるCuの鉱化作用と、その周辺の岩石の火成作用と変成作用について、野外観察、薄片観察、熱力学的解析から探ります。大学院進学後に約1週間の地質調査を行う予定です。岩石と鉱床の両方に興味がある人向けです。旅費は研究費からサポートします。1名。
(3)インドのグラニュライトの年代と変成作用
超高温変成岩の形成過程を野外観察、薄片観察、熱力学的解析から探ります。大学院進学後に約1週間の地質調査を行う予定です。1名。
(4)ジルコンおよびモナザイトのU-Pb年代測定
主に室内作用が中心。すでに採集済みの岩石について、年代測定を中心に行います。1名。
(5)日本の変成岩
茨城および福島にみられる高温変成岩についてマッピングと変成作用の解析を行います。野外調査が好きな人向け。複数名。
就職希望者用のテーマ(1年で完結)
(1)超高温変成岩中の鉱物の化学組成
(2)ブラジル,インド,南極などの高温変成岩に含まれる流体包有物
「過去の卒業研究テーマ」を一覧表にまとめましたので,志望決定の参考にしてください.
卒業研究の過程で学習できる主な内容は以下の通りです.
・地質調査およびサンプリング方法
・岩石薄片の作成および鏡下での鉱物同定方法
・走査型電子顕微鏡(SEM)による鉱物組織の詳細観察方法
・X線マイクロアナライザー(EPMA)による鉱物化学分析方法
・流体包有物の観察とheating/coolingステージを用いた密度・組成分析方法
・ジルコンの分離方法
・地質温度圧力計を用いた変成条件の推定方法
・熱力学計算プログラムを用いた造岩鉱物-流体の安定領域の決定方法
・主要パソコンソフト(Win & Mac)の使用方法
・論文(英文)の執筆方法
変成岩分野の卒論では、すでに採集された岩石を解析するテーマと、実際に野外(ほとんどが海外)に行って調査を行うテーマがあります。今のところ、南アフリカ、ジンバブエ、インド、南極の岩石が処理を待っているところです。しかし、岩石学分野においてフィールドワークは非常に重要であり、調査なしの研究は考えられません。したがって、卒論開始時あるいは大学院進学後に海外での野外調査を行っています。確かに海外には日本と異なる危険な要素もありますが、そのようなリスクがあったとしても、海外での体験がその後の彼らの人生にとってプラスの要素となっていることを確信しています。今後もこの方針で指導を行っていきます。
私自身大学院1年生の時に、ジンバブエと南アフリカの大学で7ヶ月を過ごしました。その時に学んだ数々の経験、地質学教室の学生や教官を含めた様々な人との出会い、自分の英語が通じた時の喜び、それらは私のその後の人生を決定づけるほどの忘れられない出来事でした。そうした意味では、私に海外へ行くチャンスを与えてくださった指導教官の故宮野敬先生には大変感謝しています。その中で自分なりに感じたことは、
「自分のことは自分で」
「外国人の2倍の仕事をしなければ,彼らに追いつけない」
「どうせやるなら世界を目指す」
という教訓でした。学生にみなさんにも、是非人生観が変わるほどの経験をさせてあげたい・・・それが私の願いです。
角替敏昭 : 自然系学系棟B404室(tsunogae@geol.tsukuba.ac.jp)
実験室 : 自然系学系棟A210室
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