2009年9月30日(UT)スマトラ島で発生した大地震(暫定)

9月30日(UT)にスマトラ島でM7.6の横ずれ成分を含む逆断層の大地震が発生しました。この地震は、スラブ(沈み込んでいる海洋プレート)内部で発生したスラブ内部地震です。2003年5月26日宮城県沖で発生した地震とほぼ同様の深さの地震です。
ここでは,FDSNとGSNの地震波形記録をIRIS-DMCからダウンロードして,地震時の断層面上の滑り分布を求めました。ここで得られた解は、グリーン関数の不完全性を考慮した震源解析手法で得られたものです。サンプリング間隔 0.7 sで計算しています。
予備的な解析により、残差が最小となる走向傾斜と震源の深さ求めた結果、南南西傾斜の断層面を仮定した場合に、残差が最小となる解が求まります。波形からも明らかなように、破壊継続時間は、15秒〜20秒と求まります。この継続時間は、深めの地震の標準的な継続時間と言えます(参照:リアルタイム地震学、菊池正幸著)。破壊は震源から南南東(バダンがある方向)に向かってに約30km伝わっています。単純な速度構造を仮定すると、バダン付近ではS波の震幅が大きくなることが予測できます。(筑波大学 八木勇治

主な解析結果

断層モデル1
地震モーメント Mo = 2.6 x 10**20 Nm (Mw 7.6);
破壊継続時間 T = 約15〜20 sec ;
(strike, dip, rake) = (71, 55, 135)
震源の深さ = 80 km.

すべり量分布.星印は震央

震源メカニズム解,震源時間関数,すべり量分布

観測波形(黒線)と理論波形(赤線)の比較