平成9年11月から10年3月まで.角替が第39次南極地域観測隊員(夏隊)として,東南極の調査を行いました.調査地域は,リュツォ・ホルム湾周辺のスカーレンとラングホブデ,アムンゼン湾周辺のトナー島,バント島,プリーストリー峰でした.ここでは主な調査地域である,トナー島を中心にご紹介します.
今回は私を含めて6名が地質調査にあたりました.フィールドリーダーの小山内康人さん(九州大)をはじめ,豊島剛志さん(新潟大),大和田正明さん(山口大),外田智千さん(極地研),W.A. Croweさん(西オーストラリア大)です.このページに掲載した写真の一部は,以上の方々が撮影したものを使わせていただいております.
 航海中のしらせ(左)と,南氷洋の氷山(右)
調査地域であるトナー島は,太古代ナピア岩体の西部に位置します.今までのオーストラリア隊,日本隊の研究成果によると,ナピア岩体は約25億年前に1000゚Cを越える超高温変成作用を受けたことが分かっています.しかし,岩体内での温度-圧力の変化,超高温変成作用の時期,隣接するレイナー岩体との関係など,未解決の問題が多く残っています.アムンゼン湾の中央部に位置するトナー島はナピア岩体の最高温部に位置すると考えられ,我々は詳細なマッピングと膨大な量の岩石のサンプリングを行いました.
 接岸した「しらせ」(左)と,アムンゼン湾の遠望(右)
トナー島は主に石英長石質斜方輝石片麻岩(いわゆるチャノッカイト),苦鉄質・超苦鉄質片麻岩,ざくろ石片麻岩,石英-磁鉄鉱片麻岩などから構成されています.他のグラニュライト地域のように,顕著なミグマタイト化作用を被っておらず,原岩の岩相がきれいに保存されているように見えます.
 トナー島全景(左)と,トナー島北部の半島地域にみられる縞状片麻岩の産状(右)
トナー島ではベースキャンプを設営しました.この建物の一部は40次隊でも使われました.調査は3パーティーに別れて行い,1ヶ月足らずの短期間でトナー島の詳細な地質図を完成させました.
 トナー島ベースキャンプ(左)と,調査中の外田さん(右)
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