卒業生からのメッセージ
清水恒子さん

地球進化科学専攻 角替研究室を修了しました、清水恒子(しみずひさこ)と申します。
2008年に地球科学専攻(博士前期課程)に入学し、2010年に修了・地球進化科学専攻(博士後期課程)に入学、2013年に修了(博士(理学))しました。
そして2013年4月から現在まで、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称:CTC)でエンジニアとして働いています。現在は、石油掘削関係や資源関係といった、在学生の皆様が就職活動をするときに出会うであろう地質関係の会社を、解析(シミュレーション)業務で支えるといったようなお仕事をしています。周りには地球物理系(物理探査など)を学んでいた方が多いのですが、地質学の知識も必要な分野のため、大学院で学んだことを活かして業務を行っています。

自己紹介も兼ねて、私が大学院への進学を決めた経緯をお話しさせていただきます。
学部生だった頃は他大学で物理や情報を学んでおりましたが、「岩石について勉強・研究する」という小さい頃からの夢を捨てきれず、筑波大学大学院への進学を決めました。当時大学の進路指導をしていた教授との進路面談で、「地球科学を専攻したいから他大学へ行く」と話したところ、「就職できないからやめておきなさい」と反対されたことは今でも覚えています。

大学院生だった5年間は、大変なことも色々ありましたが、今となっては経験できない貴重な体験がたくさんできました。インドや中国といった海外での地質調査、国内外あちこちでの学会発表、ソフトウェアの使い方を覚えるための2ヵ月間のオーストラリア留学…。普段の研究室では、先生から本当に色々なことを指導していただいたり、同級生や先輩・後輩から刺激やエネルギーをもらったり。自分のサンプルや分析・解析結果と一日中にらめっこしたり…。個人的には、これ以上の5年間はこの先もうないだろう、と今でも思っている位素晴らしい5年間でした。特にインドや中国での調査では、現地の方と一緒に露頭へ行き、地元の子供たちが遊んでいる隣で調査したり、地元の方が食事するような場所で食事をしたりと、調査でなければできない経験ができ、色々な文化に触れることができました。
博士前期課程の2年間は研究に慣れたり、地質学や岩石の勉強をしたりで手いっぱいでしたが、博士後期課程の3年間では、やりたい研究が何なのかを認識して研究することができました。もちろん前期課程の研究よりも大変なことや悩んだことも多いにありましたが、それがあったからこそ得られたものもあったと感じますし、嬉しいことや達成感もたくさんありました。

そしてこの貴重な経験は、社会人になった今でも活きています。例えば人前でのプレゼンテーションにはたくさん学会発表した経験が、海外の方が日本に来られた時に対応したり、英語でメールをしたりするときには海外経験や留学生・外国人の共同研究者との交流が役立っています。また、社会人になると「人とは違う経験」が武器になることも多々あります。

これを読まれている方の中には、地質学を専攻することや大学院に進学することに対して悩んでいる方もいるかもしれません。理由は様々かと思いますが、私はこれまで地質学を専攻するときも、博士後期課程に進学するときも周りの人に止められました(もちろん、応援してくれる方もいました)。私は教職も持っていませんし、何かあったら継げるような家業もありませんでしたので、アカデミックの道に行けなかったらどうしよう?就職できなかったらどうしよう?と不安もいっぱいありながら進学を決めました。それでも、やりたいと思った道を選んだことを全く後悔していませんし、むしろその選択をして良かった、と思っています。運よく(?)希望した民間企業に就職することもできましたが、それができなくてもきっと後悔はしなかったと感じています。
迷っていたら、ぜひ周りの声に流されずに、自分が本気でやりたいことに挑戦してみてください。就職に関して言えば、地質学で博士課程を修了しても意外と(!)民間にも就職先はありますのであまり心配しすぎないでください。ただ、「どうしてもこういう会社に就職したい」と考えている方は、自分でしっかり調べてから決められることをお勧めします。

これから進学を希望されているみなさんが、ぜひ素晴らしい院生生活を送れますように。応援しています。

※1 もし個人的に相談したいことや聞いてみたいことがある方は、角替先生経由で私にご連絡いただければと思います。どんなことでもお気軽にご相談ください。
※2 私の会社での仕事内容をもっと知りたい方は「engineering-eye」で検索してみてください。会社自体はIT関係の会社ですので、会社名だけで調べますと、私の部署の業務にたどり着くのが難しいかと思います。

インド調査のときの昼食。バナナの葉の上にカレーが盛られている。


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